射手座の月 魚座の愛
「『射手座の月』は外国に縁がある」――。
子供の頃から大好きだった星占いを繰り返し読むうちに、潜在意識に刷り込まれたこの一言が、今のこの現実を作り出した。
私は星占いの熱心な信者ではないけれど、星占いに書かれた「一言」が人間の潜在意識に強烈にインプットされる影響力は侮れないものがあると思う。
人間の意志や心は実に覚束ないもので、外部から何かの刺激を受けると、簡単に揺らいだり、挫けたりするものだ。
宗教家や占いの「一言」に大事な決断を委ねてしまうのも、人間の哀しい弱さかもしれない。
だが、その作用を逆手にとって、「一言」を絶対的な信念に変えれば、強靱な意志を手に入れ、運命を切り開く事も可能だ。
たとえば、「獅子座の女は強運である」という星占いの一言を信じて、世界のトップブランドを築いたココ・シャネルのように。
「射手座の月は外国に縁がある」――。
私にとってその一言は、触れてはならない魔法の呪文のようだった。ヨーロッパの文化や未知の秘境にはいつも憧れていたけれど、自分の心が成熟し、どんな事にも耐えられるようになるまでは、『行ってはいけない』といつも思っていた。
『行けば』、そこで自分の人生が大きく変わってしまうという予感が常にあったからだ。
私が初めて成田空港の国際線に乗るまでのプロセスは、今振り返ってみても、奇遇としか思えないような出来事の連続だった。出会うもの全てが私をオランダへと向かわせ、行かねばならないような状況へと追い込んでいった。
まるで、あの日、あの時、あの座席に座るように、いろんな物事が仕組まれていたような気さえする。
だが、それも単なる偶然の重なりではなく、「偶然の必然」、すべては私の潜在意識に刷り込まれた「射手座の月は外国に縁がある」の一言が作用した結果だと思う。
私はいつだって射手座の月に導かれていたし、その運命はいつでも射手座の星と共にあった。
というより、その「思い込み」こそが、占いの実体なのだろう。
付け加えるなら、私のパーソナリティを支配するのは水瓶座の太陽で、情緒的な部分は大半が水の星座――蟹座や蠍座、魚座が占めている。
中でも、愛情面に大きく作用するという金星(ヴィーナス)が魚座にあるので、行動はシャープに、感情はウェットに、という、アンバランスな人間に出来てしまった。
もし、私という人間を星占い的に表現するならば、「射手座の月 / 魚座の愛」と呼ぶのが一番妥当な気がする。
記:03/02/13 (木)
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