ドライブスルー・ファーマシー
ドライブ・スルー・ファーマシー。
その名の通り、車に乗ったまま薬が買える、24時間営業の薬屋さんです。
アメリカの「easy & convinience 」もここに極まれりといった感じの営業形態。下痢止めや鎮痛剤が、あたかもハンバーガーのように車に乗ったまま買えるんですぜ、あなた。
その昔、竹内まりやが、不倫の恋を歌った『oh No, oh Yes 』で、
「一つ一つ消えてゆく
オフィス街の窓灯り
扉を閉ざしているファーマシー
道行く恋人達は なんて幸せそうなの」
と、会社帰りに、恋人(妻子持ち)の待つホテルへと向かう切ない女心を歌ってましたが、ドライブ・スルー・ファーマシーにはとてもそんな風情はありません。
「いらっしゃいませ。痛み止めですか。10錠入りと30錠入りがございますが、どちらにいたしましょうか。10錠入りですね。かしこまりました。ご一緒に、胃薬の方はいかがですか。今ならセットでお安くなっておりますが。それではお勘定させていただきます。痛み止め10錠入りが一箱、細粒錠健胃剤のサービスパックがお一つ、合わせて10ドルと99セントになります。出来上がりましたら、窓口までお持ちいたしますので、そのまま前にお進み下さい。どうもありがとうございました。またお越し下さいませ」
・・てなもんですな。
銀行もパン屋も、閉店時間があるから、生活にリズムが生まれる。
何もかもが24時間の不夜城になったら、私たちはどこでリズムを見出せばいいのだろう?
現代人の生活に、もう夜と昼の境は必要ないのだろうか。
動物であることも忘れて、やがて眠ることも無くなるのだろうか。
もちろん、薬局は24時間必要だし、パン一つ買うにも車で5分も10分も走らなければならないこのビッグカントリーで、車が無ければ何一つ機能しない事を考えれば、ドライブスルー薬局もあって当たり前なのだけど、それ以前に、人間は、自力で生活できる範囲をとおに超えて、二度と後戻りできないところまで来てしまったのではないか、と思わずにいません。
……そんな事を考えながら、私は煌々と灯りの輝く巨大ショッピングモールを後にしました。
私も、人間社会も、これからどこに向かっていくのか、誰にも分かりません。
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